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コラム「異見と意見」

入社式に当っての祝辞を思う

 当社は今年も24期生として新入社員を迎え、4月1日に入社式を行いました。 その式典で私は、日本社会での常識として知られるように「皆さん、入社おめでとう」と祝辞を述べました。この日は日本中の至るところ、企業や団体で、このような式典が催され、祝辞が述べられていたことでしょう。これは日本の4月の風物詩でありまた文化とも言えましょう。 ところで何がおめでたいのでしょうか?

 

 昨年学生達が必死になって就職活動をしている時、私は就職セミナーで「就職とはどういうことか考えたことがある?」と問いかけたことがあります。その時多くの学生達は、あまりにも当たり前のことに対する意表を突いた問いかけに、一瞬驚いたように見受けられました。この入社式の祝辞に対する問いかけも同様で、多くの人が驚かれているのではないでしょうか? この激しい社会変化の中で、私達は無意識に、多くのことを日常的にただ当たり前、常識と思って行動していることが多いように思います。私は、現代は常識を疑ってかかる時代だと感じています。また行動するに当っては、その目的や意義を認識、意識して行うことが大切だと思います。

 

 それでは当社の入社式での祝辞は何がおめでたいのでしょうか?

 

 先ず第1は、新入社員が一人前の社会人として受け入れられたことへのお祝いです。「生れてこの方、一方的に社会の恩恵を被って、社会に育てられ、教育されて来た世代、つまり Take only の世代」から「社会の恩恵を被って人生を楽しみながらも、その一方で、自分もこの社会を維持発展させるために参画する世代、つまりGive & Take の世代」として迎えられる、おめでたい儀式だということです。この結果、新たに社会人となった新入社員には、あのKennedy 元アメリカ大統領の表現を借りるなら、「自分が社会や会社に何かをしてもらおうと言うのではなく、自分が社会や会社を良くするために何をするのか」という発想が期待されます。

 

 その第2は、就職内定後自分の決断に迷わず内定先の当社に入社したことです。知名度の高い大企業においても、就職内定者が実際に内定企業に入るまでの間の内定辞退率は50%を超えると言われています。その様な中で10ヶ月以上も前に当社の就職内定を受けた新入社員達は、毎年の事ながら今年も一人として落伍することなく、全員入社式を迎えたことは、非常におめでたいことと言えます。

 

 その第3は、株式会社日本コンピュータ開発という会社へ入社出来たことです。人間は慣れてしまえば、あるいは自分の物になってしまうと、その恵まれている事は忘れ、不足ばかりに気付くものです。当社の既存社員も特別ではないでしょう。しかし当社は日本の企業社会では実に珍しいユニークな会社です。評論家竹村健一さんの表現を借りれば、「当社の常識は一般企業の非常識」と言えます。

 

 殆どの日本企業は、日本が世界第2の経済大国になった今もなお、経済原理主義、業績至上主義、成果主義、規模拡大主義の下にあくせく働き、物質文明に翻弄され、社会全体が、この国の文化も心も失ってしまったように感じられる昨今です。これで日本国民は幸せになったのでしょうか?

 

 その中にあって当社は、経済的業績や規模拡大に走るのではなく、社会との関係を「Give & Take 」という基本姿勢で貫きながら、社員育てに重点を置き、23年間も無借金経営を続けている極めて珍しい企業と言えます。その当社は、全国を採用対象にした中から、限られた人数しか採用していません。今年の新入生もその限られた採用人数に、選ばれた人たちです。その意味でもおめでたいと言えます。

 

 一方で、当社には会社は株主のものという考えはありません。企業は社会の公器です。社員、経営者、株主、顧客はその構成員です。このユニークな企業を維持発展させるのは、社長、経営陣、あるいは一部の幹部ではありません。その活動の質と企業文化は、経営者と社員によって決まると言えます。今ここに、当社の経営理念や企業文化に賛同して新たに加わった24期生は、大きな力です。変質し、日本の文化も日本人の心も失ってしまいそうな、最近の日本社会の大きなうねりの中では、当社は小さな笹舟のようなものかも知れません。しかし、例え小さな笹舟でも、この流れの景色を変えるきっかけになることが出来るはずです。流れに飲み込まれる事がないように、経営者も社員も力を合わせて、今後も社会にとって存在価値のある、ユニークな会社であり続けるために努力し頑張りたいものです。

 

(H20.4.16 記)