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コラム「異見と意見」

初めての出版、NCKの原点を再認識しよう

 去る9月20日、私は生まれて初めて自作の書籍を出版した。その題名は「いつ倒産しても良い経営」。

 以前から何度か、当社の経営を知る人達に、私の進める経営を書き物にして出版することを強く奨められていた。しかしその都度気が進まないので聞き流して来た。書いている時間がないという以上に、いかにその発想に興味を持たれても、まだ挑戦途上のことをいつまでも残る書き物にして出版し、一般社会にひけらかすのは私の好みではないからだった。私は一過性の講演の場合でも、自分の努力では実現不可能なこと、あるいは他人の意見を拾い集めてあたかも自分の考えのように話すことはしない。私は講演を始めるに当っては常に「私の話は、これが世の中で絶対に正しいことだなどというつもりは毛頭ない。私の話は、自分がこれまでやって来たこと、今正にやっていること、これから実行に移す覚悟の出来ていること、さらに自分の人生経験を基にした自分自身の判断や自分が信じることを話すだけ。その良し悪し、正否の判断は聴衆の皆さんに一任する」と予め断ることにしている。人それぞれに考えが違って当たり前。

 今回の書籍出版のキッカケは、昨年のある日、当社のホームページを見た出版社の幻冬舎が、一般企業では決して書かないといえるその記載内容に驚いて、「是非NCKの経営の背景にある考えや主張などを書籍にして出版させて欲しい」と申し込んで来たことだった。確かに当社ホームページ冒頭から出てくる「当社の常識は一般企業の非常識」「生き残る経営ではなく、いつ倒産しても良い経営」などという言葉は、企業イメージにこだわる一般企業では使いたくない言葉かもしれない。さらに中を読み進んでいくと「倒産するのも社会貢献」などという言葉さえも出てくる。どう見ても普通ではない。だからこそあの出版社として特徴のある幻冬舎が興味を持ったといえる。幻冬舎からの出版申し入れがあった直後に、今度は首都圏とその周辺地域を対象にして放送する東京MXテレビが取材に来て、その「企業魂」という30分番組で当社のことを放送したのも同じ理由からであった(YouTube http://youtu.be/hMIR4UwVKp8 参照)。今ではそれほどに、当社の企業文化がメディアの目を引くようになって来た。今回書籍にしての出版を承知したのには、既にそのような環境になったことに加え、次のような二つの理由があったからである。

 その第1は、83歳を自分の人生のゴールと決めている私にとって、残された人生の残り時間は既に9年を切った。そこで非常識経営を進めてきた背景とその考え方をまとめて書き物にし、社員の復習の参考資料として残すこと、つまり遺言書にする為である。創業の精神を忘れて狂い始めている企業の例は多い。

 その第2は、世界トップクラスの豊さを実現した日本社会の現状を考える時、今後の企業のあり方を再考する必要があると思う。その場合、次代を担う若者や意欲ある若い経営者達が新しい時代の企業のあり方を考える上で、当社の発想や取り組みが何らかの刺激になるのではないかと考えたからである。

 この本を読んだ当社社員以外の人達がどのような受け取り方をするかは人それぞれ。しかしながら就職活動中に就職セミナーで聞き、それに賛同して入社、以来繰り返し聞き、価値観を共有し、その考えに基づく企業文化の中で働き、実際の行動に移すことを期待されている当社社員には、是非この機会にこの書籍を読んで、集団としてのこの会社が目指しているものとその背景を再確認し、誤解があれば理解や認識を改め、日々の行動に生かして貰いたいものだと思っている。そのことでベクトルが合い、一人ひとりの努力が無駄にならず達成感につながる。

 一方で当社の社員には、仕事が出来るかどうかの前に先ず当社の理念に基づく良き社会人、良き社員になることが期待されている。次に経験年数に応じた、プロといえるIT技術者に値する技術力と知識を身に付け、実践で腕を磨き、その技術や知識、あるいは既存IT製品を使いこなせる、一人前のIT技術者に成長することが期待されている。その上で自分の仕事は自分で受注できる全員営業が出来る、自立した良き職業人に成長することを目指して貰いたい。その為には指示待ち、使われ人間、あるいは上司のお手伝い屋になるのではなく、イエスマンとして上司に指示された仕事の単なる処理屋になるのでもなく、当社は朝令暮改も許される企業環境であることを認識し、仕事を教材として自己成長につなげることが大切だ。つまり仕事を実行する時には、無条件に指示に従って手足を動かすという行動を始めるのではなく、常にその仕事の意味や目的を再認識してから取り組むように努めよう。意味や目的が分かれば、その時々の状況に合わせた自分なりにベストな仕事の仕方を考えることが出来る。そのことが自らの学びや成長につながる。

 この書籍の出版を機に、社員一人ひとりがNCKという会社への理解と認識を新たに、次なる30年に向っての準備につなげて頂きたいと思う。

(H25.10.3 記)