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コラム「異見と意見」

~幼児・学童教育への取り組み~

川は上流から清浄化するしかない

【位置づけを知れば、今何に取り組むべきかが見えて来る】

 

 以前の掲載記事『だから「当社の常識は一般企業の非常識」経営に挑戦する!』の中で、豊かさを得たものの歴史的に争いが絶えなかった欧州各国が、自己中心的行動を見直し、EUという協調社会を実現したこと、一方で、経済発展が進むほどにその経済力に物を言わせ、国際法や国際契約も無視した自己中心的行動に走る東アジアの実態に触れた。人は皆幸せを求めて生きている。しかしながら経済発展、つまり物質的豊かさのみで人が幸せになるとは思わない。ギャラップ社による国民の幸福度調査結果にも、経済先進国の国民が必ずしも幸せ感を持っているのではないことが示されている。貧しくて良いとは思わない。豊かさは大切だ。しかし人が一旦物質的豊かさの追求を始めると、その欲望の留まるところを知らず更なる豊かさを追求するようになり、何の為の豊かさかを忘れてしまう。時に立ち止まり、その発展の目的と発展段階の位置づけを認識し、今何に力を入れて取り組むべきかを考えることが大切だ。

 そのような認識から、世界トップクラスの豊かさを得た今もなお、相変わらず経済拡大に走る日本社会、それを牽引する日本企業の在り方に疑問を持ち、当社は非常識経営に挑戦することにした。

 

【当社成長の現状と、成長の中での位置づけを考える】

 

 当社は日立の孫会社の位置づけで設立されたが、創業間もない時期に初代社長急逝という危機に直面した。2代目社長を担当した私は、日本経済発展段階における現在の位置づけと企業の役割を再吟味した。その結果、企業としての基本姿勢をGive&Takeと定め、独自の経営を目指し、その実現のために3つの経営理念、①社会に役立つ仕事をしよう、②社会に役立つ活動をしよう、③社員と共に良き市民になろう、を定めた。これが「当社の常識は一般企業の非常識」と公言する当社企業文化の基礎となった。この基本姿勢と理念は激動する社会にあっても変える必要はない普遍性を備えている。そこで当社発展段階を担当した私は、経営理念第1を実行するためにも重要な企業としての基礎作りとして、先ずは経営理念第3、それに続いて経営理念第2に取り組んだ。

 経営理念第3では、社員は企業の所有物ではなく市民であるとの認識の上に、同じ集団の一員として価値観を共有し、共通の目標を持った社員の確保、育成に努めた。その結果、厳しい採用難に苦しむ中小企業の中で、当社は毎年、その理念に賛同した多くの新入社員を迎え、当社の企業文化で育ち、経営者が信頼し誇りに思える自慢の社員集団となった。

 経営理念第2では、共生社会実現に向けた障がい者雇用、国際貢献の一環として外国大学生インターンの受け入れ、荒廃する地方社会再活性化や介護支援につながる社員の故郷Uターンや在宅勤務体制つくり、若者教育の一環としての学生対象講演活動、地方遊休地活用農園の開発支援などに取り組んだ。これらの活動は間接的に良き社会人育てにつながっている。この様な取り組みの一方で、安易な資金調達や金儲け、あるいは経営者が自慢しそうな株式公開を避けただけでなく、親会社である日立グループはもとより社外株主が所有する当社株式の買い戻しに努め、現在では全株式を社員が所有し、その一方で努めた財務強化によるこだわりの無借金経営で、外部からの経営干渉を排除した。このような状況を「荒れ地を耕し、まっさらな土地にした」と表現し、「この土地に価値あるものを植え、育て、その成果を社員とともに、分かち合ってほしい」と伝え、経営を次代に引き継いだ。つまり私が経営者として行ったのは、経営理念第2および第3による会社の基礎作り迄で、経営理念第1については理念の浸透に努めただけである。これが当社発展の現状と位置づけの認識である。

 

【今、当社が取り組むべき最優先課題】

 

 そのような当社発展の歴史の中での現状と位置づけを認識すれば、今当社が全力で取り組むべき最優先課題は、基盤である企業文化を維持しながら、これまで未着手の経営理念第1「社会に役立つ仕事をしよう」である。

 今回、やる気スイッチと提携して取り組むことにした幼児・学童教育への取り組みは、社会に役立つ仕事の実例として最初の取り組みである。歴史にも伝統的な文化にも無関心で、物質的豊かさに毒されたような最近の日本社会を考える時、教育は極めて重要である。しかも「川をきれいにするには、その上流から清めるしかない」のと同様、社会を清浄にするには大人になってからでは遅く、可能な限り若い内に基礎作りをすべきである。残念ながら日本の教育は受験秀才つくりに余念がなく、その改革は遅々として進まない。この状態に新しい風を吹かせて改革するには、異業種連携が欠かせないといえる。さらに今は、不可能を可能にするIT時代。当社はIT専門の会社である。当社の理念とITを活かして、日本の教育問題改革に貢献したいものである。これを契機に全社員が力を合わせて、経営理念第1の実行に取り組み始めることを期待している。


(H29.9.22 記)