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コラム「異見と意見」

新しく社会に出る若者達に贈る言葉

 当社は景気動向に関係なく毎年新入社員を採用することにしていますが、今年も4月1日、第26期生としての新入社員を迎えました。、就職活動をする学生達の人気が21世紀という新しい時代になった今も相変らず大企業、有名企業、高い給料、福利厚生制度や社内教育制度などの整った企業に集まると言われています。しかしながら、そのような条件を備えず、自社PRも殆どせず、「就職セミナー」を開いて、学生達の就職活動へのアドバイスとなる「就職とはどういう事か?」などの講演に大部分の時間を費やす当社の採用活動に、毎年多くの学生が応募し、新入社員を迎えることが出来ることは大変うれしいことです。当社の新入社員の皆さんが、他の多くの学生達のような、就職の本質を外れたような就職条件などに惑わされることなく、この「当社の常識は、一般企業の非常識」と公言する当社の経営哲学、企業文化に価値を見出して、当社への入社を決断したことに敬意を払う一方で、北海道から九州までの大学を対象にして、多くても10人程度しか採用しない当社採用枠に見事に選ばれたことを、心からお祝いしたいと思います。

 4月1日という日は、全国各地の多くの企業で入社式が行われ、「おめでとう」というお祝いの言葉が飛び交っていることでしょう。しかし、一体何が「おめでたい」のか考えている人は少ないのではないでしょうか?ただ慣例的に、「学校卒業」や「社会人としての新たな出発」がおめでたいと言っているのかも知れません。しかし最近は、卒業に値する学力が無くても簡単に卒業できますから、「卒業」がそれほどおめでたいとは言えないのではないでしょうか?また学生達が社会人になることの意味をどの程度認識し、意欲を持って、喜んで社会に出て来ているかも疑わしい社会風潮ですから、「社会人としての門出」も、それほどおめでたい事ではないのではないでしょうか?そんな無意味かもしれない慣例的な言葉に、何となく喜び、おめでたい気分になるより、この機会に社会人になる事の意味を真剣に考えたいものだと思います。

 私は、当社が毎年就職活動する学生達を対象にして開催している就職セミナーで、このテーマに的を絞って講演していますが、そこでは「新しく社会に出ると言うことは、生まれてからこれまで育てられ、教育をされると言う、これまでの社会依存型人間形成、育成、つまり社会からの恩恵をTake Onlyする世代を終えて、これからは社会の一員として、これまで自分を見守り育ててくれたこの安心安全な社会の維持発展に自らも貢献しながら、その一方で自分の人生も楽しむ、つまりGive & Takeの世代に入るということだ」と主張しています。このことを別の視点で言い換えれば「社会に出るという事は、自分にしか与えられなかった、この世にたった一つの自分の人生を、自らの意志と努力で自分らしく生きる旅に出ること」と言うことでもあります。

 一般に旅には目的地があります。では人生での旅の目的地、つまりゴールは何処でしょう?宗教的なことを抜きにして言うなら、それは「死」では無いかと私は思います。誰もが知っているように、生きているものは全て必ず「死」を迎えます。つまり私達は死を前提に、死をゴールとして生きていると言えます。私達は生まれて物心つく頃から、この当たり前のことが分かっていながら、誰もそのことの意味を深く考えず、多くの場合その時が来ると生き延びようともがき、関係者もまた悲しみます。しかしその時が来てからでは、出来ることには限りがあります。

 だから私は、今社会に出て来たばかりの若者達に、この時期だからこそ「人生のゴールは死」という当たり前の言葉を贈りたいと思います。私達はそのゴールに向って生きる訳ですが、ゴールには悲しみやもがきではなく、あのマラソンや箱根駅伝でのゴールのように、拍手喝采をあびながら飛び込んで行きたいものだと思います。誰もが拍手喝采の中でゴールにたどり着くことが出来れば、すばらしいことではないかと思います。しかしそれは容易なことではありません。あのオリンピックで活躍したマラソン選手でも、箱根駅伝の選手でも、4年にたった一回、あるいは一年にたった一回の機会の為に、自分で自分に厳しい課題を果たし、明けても暮れてもその課題に取り組み、努力を繰り返し、それでもその機会に恵まれる人はわずかです。だからこそ感動があり悔し涙もあるのだと思います。

 人生は1年や4年ではなく、一生をかけてたった一度のゴールへ向います。しかし誰もが確実に参加でき、ゴールにたどり着くことが出来るのです。そのゴールに、拍手喝采に迎えられて飛び込んで行けるように、この社会人としてのスタートに当り、あの選手達のように自らに苦難を課し、自分を鍛え、努力し、それを乗り越え、人生というコースを精一杯、全力で走り切るという覚悟をしてはどうでしょう。「人生のゴールは死」そのことを忘れずに社会人として、人生の旅に出発しましょう。

(H22.4.13 記)