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コラム「異見と意見」

社員は会社の最も重要な宝

 当社は去る3月末で創業満21年を迎えた。それでもなお現時点における当社の最大の欠点は、ビジネス面で未熟である事と認識している。それにも拘らず、社長として当社を誇りに思うことは、この不祥事の多いビジネス社会にあって当社は、社会に対しても顧客に対しても常に誠実で、社会人としてどこに出しても恥しくないと信じるに足る社員達に恵まれている事である。そういう社員達と彼らが創り出す当社の社風は、目先の技術力や知識以上に、当社にとって重要な企業としての力であり宝である。欠点である‘未熟’さも、常に謙虚さを失わず努力を忘れず、環境変化に柔軟に対応する為には最大の武器であるとも言える。

 

 そのような社員に加えて去る4月3日、第22期生として12名の新入社員を迎えた。景気回復の兆しが見え始めた昨年の採用活動では、多くの企業が採用予定数を確保するのに苦戦したと言われている。しかしながら当社の採用活動には多くの優れた学生達からの応募があり、結果として採用予定枠を上回って内定し、その内定者が一人として欠けることなく全員入社式を迎えた。就職氷河期と云われていた時でも一般企業では内定後の辞退者が多いと言われている。しかし当社では毎年、内定者が一人も欠けることなく入社式を迎えるのが常識になっている。その理由は、一般企業とは違う当社の採用方針にあると言えよう。

 

 一般企業では、売上高や企業規模の拡大などの経営目標達成に必要な採用枠を決め、その人数確保をノルマとして採用担当者が手段を尽くして、必死で採用活動をするのに対して、当社の採用は売上高や規模拡大が目的ではなく、応募者の中に適任者が居たら一定人数まで採用し、社員育てをする事が目的である。もし応募者の中に適任者が居なければ採用ゼロでも良いとさえ考えている。そのため採用活動では、当社の自慢話をしてうまく人員確保を図ろうと云うのではなく、先ずは就職セミナーを開いて、学生達が自分の就職観を持つためのアドバイスに努め、引き続く会社説明会では、当社の経営姿勢や経営理念、価値観や考え方、そして目指すべき経営などに重点を置き説明している。その中でも「就職とはどういう事か?仕事とはどういう性格のものか?」と云う、どこの会社に就職するにしても考えておくべきテーマに多くの時間を割き、認識不足と甘い期待での就職で、就職早々に挫折する若者が続出するのを未然に防ぐ事に努めている。そのポイントのいくつかを挙げると次の様である。

 

1)就職とは学生時代に別れを告げ社会人になる事。云い換えれば、一方的に社会の恩恵を受け、育てられ教育されるだけでも良かった学生時代までの世代から、ただ単に社会の恩恵を受けて自分の人生を楽しむだけでなく、自分もその社会の維持発展の為に何らかの形で貢献すべき世代に入って行くことである。つまりTake only の世代からGive & Take の世代に移ることである。同時に就職活動とは仕事を通じて健全な社会の維持発展に貢献しようと云う覚悟の行動でもある。

 

2)仕事と趣味を混同すべきではない。趣味は自己都合、自己満足の為に行うので楽しいが、仕事は自己都合ではなく顧客都合で行うもの。自己満足しても顧客満足がなければ仕事をした事にはならない。だから仕事は厳しくつらい。

 

3)自分のしたい事をして、自分の欲しいものを得る事だけで喜ぶのは子供の喜び方。自分の欲しいもの、したい事を我慢してそれを他人に譲り、あるいは与え、他人の喜びの結果として自分も喜ぶのが大人の、社会人の喜び方。

 

4)自己責任で選択した仕事でありながら、自分に合わないと言う理由で転職を繰り返すのは転職ではなく問題逃避。転職とは一人前になった者の行うもの。先ずは自分で選んだ最初の就職で、社会との間にGive&Takeが出来る一人前の社会人になること。

 

 当社はこれらのアドバイスをヒントとして、自分なりの就職観を持った人達を対象に会社説明、それも当社の基本姿勢や経営理念を十分に説明した後で、希望者を対象にただ一回の面接試験だけで内定可否を決め、一週間以内に本人に通知をしている。

 

 振り返ってみれば当社には、創業以来いろいろな危機があった。創業まもなく突然社長が病に倒れ、ある時には現在で言うM&Aに直面し、またある時には会社としてはまだ未熟な中でバブル経済崩壊に見舞われ、さらには親会社に振り回されそうにもなった。しかし今ではそれらが全て自立を目指す当社の力の元になり、創業満21年を迎えた現在、社会に対しても、そこに勤める社員にとっても、誇りに思って良いと言える会社になった。そのような中で新たな仲間12人を迎えた。後輩を育てるのは先輩としての重要な仕事であるが、経営幹部や後継社長を育てるのは現職社長の重要な務めである。実力がなくても役職に任命し、その任務に挑戦する事で人育てをすると言う当社の幹部育成方針に基づき、既に2年前から経営幹部の任命をして来たが、いよいよこの6月には新しい社長も任命する予定である。

 

(H18.4.24 記)