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コラム「異見と意見」

2011年の初めに贈る言葉「ローカルからグローバルへ」

 新しい年が明けた。バブル経済崩壊以来、経済の低迷と共に日本中が自信を失い、意気消沈し、閉塞感の中に閉じ込められているように感じているのは私一人ではあるまい。今年こそ、この閉塞感の中から脱出したいものだ。それは誰か他人の問題、他人が実現してくれる問題ではなく、私達一人一人が取り組むべき問題だ。

 

 昔からこの国には「一年の計は元旦にあり」という言葉がある。この新しい年の初めに当たり、明るい社会へ向かって方向転換したいものである。その為に必要なこと、それは私達一人一人が意識転換を図ることである。その為のポイントの一つは「ローカルからグローバルへ」であり、他の一つは「ないものねだりではなく、あるものを生かすこと」であると思う。今回は「ローカルからグローバルへ」に焦点を当ててみたい。

 

 「グローバリゼーションの時代」という言葉が聴かれるようになって久しい。しかしながらこの日本も私達日本人も、その行動は「グローバリゼーション」と逆行しているように感じられて仕方がない。そのいくつかの例を挙げると、次のようなものがある。

 

 政治の世界では、政党間、政党内問題にエネルギーを消耗している内に政治は停滞、激動する国際社会の流れに取り残され、国際社会での存在価値を低下させつつある。経済の世界では、国内産業に目を奪われている内に国際経済の動きから取り残されつつある。社会に目を向ければ、世界第2の経済大国という経済発展、それを支える企業繁栄の影で、国家は地方から崩壊が始まり、働く国民の多くが非正規社員として安易に解雇され、次代を担うべき若者達は就職浪人という形で、決して幸せとは言えない方向に向かっている。一方で日本人の意識は、国境を越えた地球規模での行動や情報の自由化、流動化の中で、あの制限が多く手段もなかった幕末の頃とは反対にますます内向きになっている。その結果、次代を担うべき若者達までもが志、開拓者精神、挑戦の意欲も勇気も失い、自ら社会に関心を持ち変革する訳でもなく、ただ与えられた安心安全安定社会の中での安住に走り、異文化への挑戦を避け、留学も外国転勤もためらうという。人間関係では、社会の一員としての意識や規範、伝統的な和の心、思いやりの心を見失い、利己的、自己中心的な無縁社会になって来た。

 

 以上のような事例に共通するのは、自らの位置づけを認識して本質を考える習慣、大局を見る広い視野、つまりはグローバルな視点を失い本来の目的も見失って、自分の心の中、身の廻り、直面する目先の問題への対応などローカルな世界の中に閉じこもってしまっていることである。

 

 「ローカル」は「グローバル」の一部に過ぎないが、「グローバル」があって初めて「ローカル」が存在できる時代。それが「グローバリゼーションの時代」であろう。また現在は世界秩序激動の時代でもある。今日の世界、今日の環境が、明日も続くとは限らない。むしろ明日は新しい世界、新しい環境であるといえる。それに備えることが「生きる」為の基本であるといえる。人間も経済も国家も「環境適応型」であって初めて存続できる。ローカルな、あるいは今の自分のままで身の廻り、目先の問題へ対応するのではなく、先ずは「グローバル」に目を向け、それに対応できるように「ローカル」、つまり自分のあり方を考え、行動し、グローバルな環境に備えて初めて存続できる時代である。

 

 政治は、まず国際社会のグローバルな動きと方向を念頭に、それへの適応を最優先に行い、その上でローカルな国内への対応を行うべきである。また経済の世界では、ローカルな国内企業同士によるローカルな社会の中での競合に限られたエネルギーを消耗するのではなく、選ばれた企業による、日本の特徴、独自性を生かした経営で、競争の場をグローバル社会に置くべきである。
 一方で、経済の発展、それを支える企業の活躍は、国家の繁栄と国民の幸せを図ってこそ価値があることに気付くべきである。止まるところを知らない目先の物質的豊かさの追求より、長い歴史の中で養われた伝統的な文化や心を維持し、さらにそこに生きる国民が精神的な幸せを実感でき、さらには次代を担う若者達が大志と希望と意欲を持って、自分の人生、新しい社会実現に向って挑戦する社会こそが、グローバル社会の中で存在価値ある社会といえよう。

 

 その為には、国、地域、会社などの組織/団体を構成する国民、市民、社員/職員など一人一人が、「ローカルな視点からグローバルな視点へ」意識改革を行い、グローバルな中にローカル、自分の生きる位置を見い出し、「他者依存、他者への期待ではなく、自立の心を持って自らの能力を研き、自ら参画、行動することによって国家の繁栄、国民の幸せ、自らの幸せ、自己実現を図って行くことが大切である。

 

(H23.01.04 記)