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コラム「異見と意見」COLUMN

お上依存の文化から民主主義へ
~敗戦から満70年を迎えるにあたって~

本年8月15日、日本は太平洋戦争敗戦から満70年を迎える。一方当社は3月末に創業満30年を迎える。国民も社員も、この機会を何気なく過ごすのではなく、今歩いている足元を見つめ、これまで歩いてきた道を振り返り、過去に学び、その上で今の歩みを見直すことが大切であろう。

明治維新以降、ひたすら西欧列強に並ぶことを目指して近代化の道を追求してきた日本。その勢いのあまり自己過信に陥って近隣諸国へ侵攻、さらには大平洋戦争まで引き起こした。その結果310万人ともいわれる国民の命を犠牲にしただけでなく、周辺の多くの国々に耐えがたい困難をもたらした。私たちはあの敗戦の体験から、二度と戦争を引き起こしてはならないという思いの下、平和国家への道をひた走ってきた。

日本はこの70年間、一度として戦争を起こしたり、戦争に加担することなく、ただひたすら自国の経済発展に全力で取り組むと同時に、被害を与えた国々への経済的支援と友好増進に努めてきた。それにも拘わらず戦後70年経った今もなお、周辺国、特に中国や韓国からの不信感が消えることはなく、友好の道が開けないでいる。どこで道を間違えあの戦争を引き起こしたのだろうか?この豊かさを当たり前のこととして日々を過ごしている私たちの多くは、その問を忘れかけているのではないだろうか?

敗戦直後の日本は、ほとんどの都市が、あの東日本大震災で壊滅した市町村のような一面焼け野原であった。しかしながら敗戦後23年間という短期間で経済復興を成し遂げ、今では戦争の跡形もなく復興し、国民のほとんどが世界有数の豊かさを謳歌している。これは当時の国民が、その日の生活もままならない極貧の中で、困窮に耐え、不自由を我慢し、国民性ともいえる勤勉さを忘れず必死に学び、働き、貧困から脱出し、幸せな日常生活を取り戻すため、一丸となって頑張ってきた結果である。それをリードする政治家や官僚、企業経営者も皆同様に国家と国民のために頑張った。

しかしながらその後、この豊かで安心安全な社会の中にどっぷり浸かっている内に、国民の社会への関心は薄れ、次代を担う若者達の学びへの意欲までもが薄れ、心は貧しくなり、生きる目標だけでなく幸福感さえも失ってしまった。2012年に発表されたOECDの国民幸福度調査結果によれば、この平和で豊かな日本の国民の幸福感は、調査対象36か国中21位という低さである。その結果とも言える事件も多い。日本で言えばまだ高校生の年代でありながら、生命の危険にさらされる中で、教育の機会を得られない人たちへの支援を世界に向かって訴え、昨年ノーベル平和賞を受賞したあのマララさんの力強いスピーチに、心を打たれた日本人がいったい何人居ただろうか?年末に行われた国会議員選挙では、半数近くの国民が投票に参加しなかったのは国民の社会への無関心さの表れかと思う。豊かさの中で社会への関心は薄れ、心は貧しく自己中心的になり、相変わらず盲目的に物質的豊かさを追い求めているように感じられる。

集団には組織と共にリーダーが必要で、社会の中では官僚や政治家、企業経営者がその役割を担っている。しかしながらバブル経済崩壊以降次々に明るみに出て来た彼らの働きは、年金問題や政治資金問題、あるいは企業不正事件に例を見るように、決して褒められたものではない。政治も官僚も、教育でさえも、国民の意識、つまり民度以上には良くならないもの。人間には必ず欠陥があるので、悪意がなくても失敗し、良かれと思って行動しても道を誤ることもある。最近のように国民が社会に無関心でいると、リーダーの任にある者が独り歩きし、またあの痛恨の戦争に至らないまでも、気づいたら国の政治や組織の活動が、国民や構成員の意に反した方向に行くことにもなり兼ねない。かっては殿様、あるいはお上(かみ)のいう通りにしていれば良かったかも知れないが、日本は敗戦を機に民主主義国家となった。民主主義国家の基本は国民が主役である。その国民が無関心では社会が成り立たない。国の方向を誤らないためにも、この敗戦70周年を機に社会に関心を持ち、国民一人一人がその能力に応じて、良い社会づくりに参画するように、先ずは意識の点で目覚めたいものである。このことは企業、NCKにも言えることである。社員もリーダーも、皆一生懸命に目標に向かって頑張っていたにも拘わらず、少し距離を置いてその行動を注意深く見たら、いつの間にか軌道を外れていたというのが最近の海老名だったと言えるかもしれない。これはリーダーの問題というより、それぞれの立場にある社員が、その役割を認識せず、果たさず、盲目的にリーダーに依存し、追従していたからと言えよう。この創業30周年を機に、NCKと言う集団が大事にしたい価値観や目標を再確認するとともに、目標達成へ向かって、それぞれの部門や自分の役割についての理解と認識を深めて欲しいと思う。

そのために今年は、社員をその経験年数や役割毎に分けて、全社的目標や課題、部門毎の位置づけや役割、社員への期待などを理解するための研修会を実施したいと思っている。

(2015.01.05 記)

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