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コラム「異見と意見」COLUMN

新入社員を歓迎する

当社は、去る3月20日に操業開始満20年を迎えました。会社の寿命30年といわれる中で最初の10年間は、創業社長の突然の死、バブル経済崩壊による日本経済の大混乱という会社存亡の危機に次々と直面しながらも、それを一人として社員を解雇することもなく無借金で切り抜けると共に、当社の企業としての性格付け、即ち経営理念を固めることに全力で取組んで来ました。

先月で終わった次の10年間は、新卒にこだわりながら好不況に関係なく毎年採用を続けてきた社員を、理念に基づいて育成することに努めて来ました。その結果、ビジネスの面ではまだまだ未熟とはいえ、真面目で信頼できる良き社会人としての社員140余名の会社として20周年を迎えました。

そして今日4月1日、会社寿命30年の内、最後の10年間のスタートに当たって、ここに、当社第21期生として6名の新入社員を迎えました。その中には当社設立以来初の外国籍の社員一人を含んでいます。

新入社員の皆さんにとって、いよいよ本格的な社会人としての出発です。皆さんはこれまで育てられ、教育されという形で、一方的に社会の恩恵を被っても良かった、即ち Take Only を生きてましたが、本日の入社を境に、一方的に社会の恩恵を被って自分の生活を楽しむばかりではなく、これからは自分もこの社会の維持発展のために参画しなければならない、即ち Give&Take の世代に入りました。社会への参画の第一歩は仕事を通じて社会活動に参加することです。その仕事とは、自己満足ではなく顧客満足のために行うもので、好きな事を好きな時に、好きなだけ行っても良い趣味と違って、時には自分の都合が悪くても、体調が悪くても、避けることが出来ないものです。だから仕事とは本質的にはつらくて苦しいものです。

一方で、私達は起きている時間の大部分を仕事をして生きています。その仕事がつらく苦しいものなら、社会人の人生は何の楽しみもない闇の様なものになるのかというと、そうではありません。他人の都合など全く考えずに、自分の欲しいもの、したいことのために泣き叫ぶ幼児に代表されるように、自分のしたいことばかりをして喜ぶのは子供にのみ与えられる喜びといえます。それに対して大人の社会人の喜びとは、自分の欲しいもの、やりたい事をがまんして、そのチャンスを他人に与えることによって、他人が喜ぶことを通じて得られる喜びではないかと思います。その代表がボランティア活動です。社会人、大人としての喜び方とは、他人に与えることのできる喜びともいえましょう。

そういう視点から私達の社会を顧みますと、最近の私達は金銭的な豊かさと引換に、社会人としての基本を忘れてしまったように感じます。凶悪犯罪の頻発と犯人の低年齢化、疑問の多い政治家、国民や市民無視の税金を無駄遣いする公務員、信用の代名詞ともいえるような大企業による不祥事など、日本中に拝金主義、自己中心主義がはびこっています。即戦力、成果主義などという言葉が流行し、社員は金儲けのための設備並の扱いです。
このような社会、会社で良いのでしょうか。

そのような中で新入社員の皆さんが選んで入社した当社は、操業開始から満20年、人間でいえば成人の年齢です。大人としての行動が問われる年齢です。これまでも、これからも、当社は現在の社会に疑問を持ち、環境に迎合する事なく、うぬぼれる事なく、経営理念に従って当たり前の事を当たり前に行い、そこに勤める社員の皆さんが、そこで働く事を誇りに思える、そんな会社でありたいと思います。社員の皆さんに、良き自己表現、自己実現、自己成長の場を提供できる会社でありたいと思います。

当社にとってその為の基本、よりどころは3つの経営理念と2つの日常的行動指針です。新入社員を迎えたこの機会に、新しい10年がスタートしたこの時期に、先輩社員の皆さんも、もう一度入社当時の初心に帰り、当社の理念を再確認し、新しく迎えた21期生と共に力を合せて、社員一人一人が誇りに思える会社育てを目指したいものです。

(2005.04.26 記)

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