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日本コンピュータ開発

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コラム「異見と意見」COLUMN

07新入社員への祝辞

世間では、就職超氷河期と言われた時期でさえ、平均30%の就職内定者が内定企業への入社を辞退したと言われています。そのような中で昨年5月に終了した当社採用活動で、当社の価値観や経営理念に賛同し就職内定した皆さんが、一人として落伍することなく、本日第23期生として全員入社された事を歓迎し、心からお祝い申上げます。

私は昨年の採用活動以来、採用者の立場で、就職セミナー、入社試験、内定者懇談会などを通じて、就職とはどんな事か、社会人になるとはどういうことか、NCKとはどんな会社かなどを繰り返し、詳細に説明し、語りかけて来ました。本日はこの会社の生みの親に次ぐ育ての親の立場で、当社で社会人への第一歩を踏み出した皆さんをお祝いすると共に、当社独自の価値観に基づく経営理念の実現、更なる発展、その継承の為に参画して頂く事への期待とお願いを申上げたいと思います。

日本の経済社会の中で、バブル経済崩壊以降実に多くの企業不祥事が発生し、また日本を代表するような大企業が未だその不況から立直れずに低迷しています。その多くは、この新しい変化の激しい時代にも拘わらず前近代的な同族経営に拘って経営に緊張感をなくしたり、企業存在の原点であるその企業独自の経営哲学、創業の精神を忘れ、私的な権益や目先の業績に振り回された迷走経営が原因であるように感じます。その行き過ぎた例が、手段を選ばない金銭至上主義、自己中心的な経営で破綻したライブドア、村上ファンドなどではないでしょうか。

当社は、現在の日本企業のあり方に疑問を持つ立場から、独自の基本姿勢、経営理念、そして日常的行動指針に基づき新しい経営に挑戦して来ました。その特長を要約すると、NCKは単なる資本の論理で利益だけを追求する企業ではなく、生活感覚で当たり前のことを当たり前に行うことに徹した企業と言えます。

当社の場合、会社設立および創業から約2年半の間経営に当った生みの親としての落合創業社長は、社員がまだ30人余の乳飲み子と言える時期に不治の病に倒れました。しかしその経営の根幹には、目的に多少の違いはあるとはいえ「社員を大切にする」という考えがありました。私はこの乳飲み子と言える状態の会社を引き継ぎ、育ての親として約19年間育成に努めて来ましたが、その経営の根本には、創業社長の「社員を大切にする」と云う考えを独自の考えに置き換えて継承し、具体化し、自立した社員育て、新しい時代に通用する理念を持った企業育てを行なって来ました。そしてこの会社が成人したと言える20歳を過ぎた一昨年、当社生え抜きの若い社員達で構成される次の世代の経営陣にこの会社の経営を引き継ぐ事を決断し、現在その過渡期にあります。

一般社会では生みの親であれ育ての親であれ、親は常に子供が一人前の大人に成長し、自立し、幸せになることを願うもので、決して子供を自分の所有物として働かせ、その成果を横取りするなどと云う事は有りません。しかし企業社会では、生みの親であるオーナーが、何時までも企業をその子供のように私物化して支配する事が多々有ります。しかし当社は「人間社会で当たり前のことを企業経営の中でも当たり前に行う」と云う企業文化を持っています。つまり親が子供達を所有するのではなく、少しでも早く自立する事を期待しています。育ての親としての私の望みは、この会社を所有し私物化する事ではなく、新入社員を含む後継社員の皆さんが、創業以来育て確立して来た当社の経営理念に基づく企業文化を引き継ぎ、更なる発展を図ってくれる事です。

企業は、目先の業績追求に盲目的になったり経済環境に飲み込まれて、その経営理念や企業文化を見失うと凋落が始まります。私達は多くのそのような企業の例を身近に見る事が出来ます。どうか目先のことに振り回される事なく、この会社の経営理念や企業文化を正しく理解してそれを守り抜くと共に、指示や与えられるのを待つのではなく、自らの意思でそれぞれの個性と能力を精一杯発揮して活動し、この会社を通じて自己表現、自己実現、自己成長を図ってください。

この新しい社会人としての門出に当って、私は皆さんに次の言葉を贈りたいと思います。それは「人生は芸術である」と云う言葉です。会社・職場は、皆さんが起きている時間の大部分を過ごす場所、つまりそこで過ごす時間は、皆さんの、限られた貴重な人生の時間の大部分を占めています。その瞬間瞬間の積み重ねが人生です。人生はあたかも真っ白いキャンバスに絵を描いて行くようなものです。バランスの取れた良い絵、良い芸術作品に仕上げるには、描く部分部分を見るのではなく、キャンバス全体に視野を広げ、全体構想を持ち、描くもの一つ一つにその構想の中での位置づけを与え、描いて行く事が大切です。つまり納得できる人生に仕上げるには、目先の事に一喜一憂しながらその時の都合だけで行動するのではなく、常に視野を広く持ち、全体の中での位置づけ、大きな流れを意識、認識しながら行動する事が大切だと思います。広大な原野を歩く時には、足元ばかり見て歩くのではなく、出来る限り遠くに目標を置いて歩けば、突発事故で転んでも、再び確実に歩いていた方向を見出せるものです。人生のキャンパスは一枚しかありません。人生は言い訳無用です。他人任せではなく、自分の意思と判断で、自分で納得できる人生、芸術作品に仕上げて行きましょう。そのためのキャンバスが、今皆さんが社会人としての第一歩を踏み出した、この(株)日本コンピュータ開発です。

(2007.05.16 記)

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