NCK株式会社
日本コンピュータ開発

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コラム「異見と意見」COLUMN

2011年入社式での新入社員への祝辞から

新入社員の皆さん、社会人としての門出、そして(株)日本コンピュータ開発への入社おめでとうございます。当社の最年長者として、またこの会社を自分の子供のように育てて来た者として一言お祝い申し上げます。

今日本は、3月11日に発生した巨大地震と津波による東日本大震災で、東北3県の太平洋岸を中心に壊滅的な被害を受けただけでなく、東京電力福島原子力発電所の崩壊による核汚染問題に直面し、国家的危機ともいえる状況にあります。そのような環境の中で、本日この時、日本各地各組織で、新たに社会人となった次代を担う若者達を迎え、「おめでとう」という言葉が飛び交っていることでしょう。その「おめでとう」という言葉の意味は、一般的、伝統的には「社会人としての門出、親から自立した生活の始まりを祝う」ということかと思います。

しかしながら当社の言う「おめでとう」の意味は、この一般的な意味の「おめでとう」とは少し違い、「当社の主張する社会人」としての門出を祝うと共に、「当社の常識は一般企業の非常識」と公言してはばからないこの(株)日本コンピュータ開発の、限られた採用枠の中に選ばれて当社に入社したことに対する「おめでとう」なのです。

最近の日本社会は金銭至上主義で、手段を選ばずお金持になりさえすれば「成功者」という風潮があります。また企業は業績至上主義で、地方社会に多発する限界集落など、日本列島が地方から崩壊し始めていることを知りながら、数少ない若者達を地方から首都圏にかき集めて地方の高齢化・崩壊を加速させ、また不況となればリストラ、非正規社員契約破棄などで社員を路頭に迷わせるなど、市民生活を混乱させることが日常茶飯事です。つまり企業は国家の発展と国民の幸せを図る為に努めるのではなく、自己利益の為に一方的にこの社会を利用しているだけと云えます。

そのような中で当社は、採用活動の一環としての就職セミナーで、就職活動中の皆さんに対して「企業は、そこに良き社会があるからこそ安心して企業活動が出来ることを忘れるべきではない。その社会を一方的に利用して営利活動のみに走るのではなく、社会の維持発展に何らかの形で貢献すべきだ」「学生から社会人になるということは、Take Only の世代からGive & Take の世代に入るということ」だと主張して来ました。つまり当社には「社会を一方的に利用して単に営利活動をする」という考え、また「社員を自社利益の為だけに働く企業戦士に育てる」という考えはありません。仕事においては、社会の維持発展は他人任せにして、ただ自己利益の為の仕事に社会を利用するのではなく、その社会に役立つ仕事をすることをビジネスの基本として全力で取り組みます。また社員の指導育成に当っても、「そこにある社会をただ一方的に利用して、自分さえ生き延び、自分の人生さえ楽しめばよい」というのではなく、これからは「今生まれたばかりの乳児を含む後輩達の為に、これまで自分を育ててくれたこの安心安全な社会を維持発展させる為に自分も参画し、何らかの形で役立つ働きをする一方で自分の人生も楽しむという、Give & Takeの出来る良き市民に育てること」を社員育ての基本とします。当社はその社会に役立つ仕事の具体的目標を、「ITの使いこなし(ユースウェア)による中小零細企業支援」とそれを活かした「地方出身者による地方社会の活性化、つまり自分の故郷の荒廃を自分達で防ぎ、再活性化を図ること」と定めている会社です。

私は講演の機会がある度に、「この日本と日本人は、戦後の荒廃から立ち上がる過程で、物質的豊かさと引き換えに、この国の歴史も、文化も、日本人としての心さえも見失ってしまった」と主張して来ました。同時に「地方にこそ日本の歴史、文化、そして日本人の心が残っている」とも主張して来ました。今回の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた地域や被災者のニュースが世界を駆け巡りましたが、パニックになったり略奪や暴動に走るのではなく、その被害に必死に耐えながら、支援には長い列を作ってお互いに他を思いやりながらいつもと同様に社会秩序を守り、また支援に感謝し合っている姿を見て、日本人の心の豊かさ、その人間としての文化、品格の高さに世界が驚愕し賞賛しました。地方にこそ日本の原点があるという主張に間違いのなかったこと、また地方再活性化に取り組もうという当社の方針は間違っていなかったことを再確認した次第です。その実現への道のりは遠く厳しいものですが、それだけに挑戦する価値があると言えます。この度、その社会人としての門出の場所として、数ある会社の中から当社を選んで入社した新入社員の皆さんを誇りに思うと共に、心から祝福したいと思います。
おめでとうございます。

(2011.04.28 記)

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