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コラム「異見と意見」COLUMN

期待する社員像、目指すべき社員像

「当社の常識は一般企業の非常識」と公言する当社は、次のような経営を目指している。

  1. 生き残る経営ではなく、いつ倒産しても良い経営
  2. 利益や規模の拡大は目的ではなく、社員育ての結果であると考える経営

このように一般企業には見られない独特の経営を目指し、独自の経営理念を定めている当社が期待する社員像、社員が目指してほしい社員像には、一般企業のそれとは大きな違いがある。一般企業で良いとされる社員が、NCKでもよい社員ということはない。

では、どのように違うのだろうか?

【一般企業で期待される社員像】

バブル経済崩壊を機に、日本企業、中でも大企業はその経営を、伝統的な日本的経営からアメリカ型経営に切り替えた。その特徴は「会社は株主のもの、社員は労働力、設備機械と同様な業績達成のための道具、手段の一つ」という位置づけとなり、業績至上主義経営となった。

その一方で企業は相変わらず一流大学の成績優秀者採用にこだわり、さらに、その“優秀な”社員を教育するため、社内教育制度の整備、充実に余念がない。本来社内教育制度というのは、社会が貧しく、学ぶ意欲があっても経済的理由で進学できなかった時代に、それを補完するという社会的要請から生まれたものといえる。それにもかかわらず、この豊かな、大学進学率が50%にも達する日本社会で社内教育にこだわる。成績優秀者を採用していながら、なぜ社内教育が必要なのか不可思議である。一方で実際の職場は予算 達成が至上命令。そのため社員はよそ見せず、ただひたすら上司の指示、規則規定、マニュアルを守って働き予算達成の成果を上げる。そういう社員こそが、良き社員、期待される社員である。そこでは“優秀な”社員もその能力の一部を活用するだけで、あるいは必ずしも優れた知識や技術がなくても、同じ職場で長く働く内に身に付けた経験や慣れ、業務処理要領で期待に応えることが出来る場合が多い。結果として学歴優秀な社員もそうでなかった社員も、大差なく期待に応えることが出来る。私はこの点に注目し、かつて大企業で構成される「科学技術と経済の会」で、「大企業は、一流大学の成績優秀学生採用にこだわりながらその能力を活かしていない。欲しがるばかりで成果を出さない読売ジャイアンツみたいだ」と講演したことがある。

近年の技術進歩は目覚ましく、AI時代の到来は近い。AIが人間にとって代わるという‟衝撃的な”報道もある。それは自然な流れだが、AIがすべての人にとって代わるとは思わない。AIは機械器具であり、動作の基本は設計者が設計時に意図した‟指示”である。つまりAIを備えた設備機械は上司、規則規定、マニュアルに忠実に働く指示待ち、使われ人間と同等なだけでなく、疲れもサボりもないので、そのような人を置き換えるのに十分である。機械で出来ることは機械に任せ、人間は人間でなければできないことに集中することこそ自然だ。しかしながら機械並みの働き方をしている自分に気づかないばかりか、それを優れた実力と誤解する人は多い。私には経営支援のため転属した取引先企業で、日立時代の活躍が組織の力、役職の力、規則規定やマニュアルの力であったことに気づかず自分の能力と過信し、何を指示しても対処できない中小企業社員を、能力がない社員と誤解し大失敗した経験がある。

【当社が期待する社員像】

当社はいつ倒産してもよい経営を目指し、当社の理念に賛同し、共有する価値観の下で共通の目的を達成することに意欲を持った社員の採用にこだわる会社である。また採用した社員を即戦力化するための、会社が主導する社内教育は行わず、社員の自主的な、自立した社会人、職業人への成長努力を会社が支援するという立場で、仕事も教材との認識で、その機会と環境を提供することに努めている。これでは社員の育成効率が極めて悪いと言われても仕方がないが、自立した社員育てを目指す当社には、社員の促成栽培という考えはない。社員は、第1テップとして良き社会人、当社の目指す経営や経営理念を正しく理解した良きNCK社員に、第2ステップとしてなんでも屋といえるIT技術者に、第3ステップとしてその知識や技術をビジネスに活かせる良き職業人に成長し、第4ステップとして自分の仕事は自分で確保できる営業力を身に付け、全員良き社会人・社員、全員IT技術者・職業人による全員営業集団を目指している。日常活動では各自は指示待ち、使われ人間ではなく挑戦目標を上司と共有し、その立場、能力に応じてその達成のために共に知恵を出し合い、力を加え合う仲間でありたい。そうすれば社員一人一人の力は小さくても、それを余すところなく出し切って加え合うことで、優秀だといわれる人たちが能力の一部しか使わない指示待ち、使われ人間集団よりはるかに大きな力になる。さらにそこに留まらず、各自がその能力に応じて今何をやるべきかを考える習慣を身に付け、経営への参画意識をもって行動すれば、次代を担う経営候補者が続々と育ち、 最終的には全員IT技術者、全員営業、全員経営という集団を実現できるだろう。

(2017.07.25 記)

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