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コラム「異見と意見」COLUMN

人は誰も、幸せになることを願っている

私は、人は誰でも、自分で意識するしないの違いはあっても、皆幸せを求めて生きていると考えています。しかしながら何が自分にとって幸せなことであるかと言うことは、人夫々で異なるもの。目の前に起こっていることが同じでも、それを楽しみ、幸せと感じる人が居る一方で、欠点ばかり見つけて不平不満を言う人も居ます。だから自分の幸せは自分で切り開き、自分で実現するしかないのだと私は思います。それにも関わらず多くの人達は、誰か他人が自分にとって幸せな職場や環境、仕事や社会を作って提供してくれると思っているのではないでしょうか?あるいはどこかに行けば幸せがそこに有るかのように思っているのではないでしょうか?

世界トップクラスのこの豊かな日本社会で、最近、自殺願望者による無差別殺人事件が頻繁に起こっています。そのような事件を起こさないまでも、現在の社会や職場に不平不満を感じ、義務としての社会活動から目をそむけ、就職では「もっといい職場があるはず」「自分の能力を活かせる仕事があるはず」と、あたかもどこかに自分にピッタリ合う理想の職場があるかのような誤解をして転職を繰り返す人が居ます。それで気に入った仕事が見つからないと、社会を恨み、あるいは絶望し、引き篭もり、プライドどころか恥も外聞も捨てて自ら自分を失業者という立場に置き、働く能力がありながら働かず、進んで生活保護という他人からの哀れみを受ける人まで居るという声が聞かれます。華やかに、遣り甲斐がありそうに見える仕事でも、実際の仕事は地味でハードです。仕事とはそういうものです。理想というより空想と現実とのギャップを埋められず、我慢できずに職場を転々としてしまう人達が増えています。こういう人達を“青い鳥症候群”と呼ぶ人も居ます。

皆さんはモーリス・メーテルリンク作の童話劇「青い鳥」を知っているでしょうか?私達の年代は、幼少の頃童話としてよく読んだものです。その童話の中では、チルチルとミチルという兄妹が、青い鳥、つまり幸せを求めて旅をするものの、長い旅の最後に、青い鳥は遠くにではなく身近な足下に居ることに気づきます。つまりこの童話は「幸せはどこか遠くではなく身近なところにある。その身近にある日々の幸せを大切にしよう」と子供達に教えていたと思います。作家の五木寛之はその著書「青い鳥のゆくえ」で、「できあいの幸せ(青い鳥)なんてこの世にはない。幸せは簡単には手に入らない。でも人間には青い鳥(幸せ、希望)が必要だ。だからそれを自分達で作らなければいけない・・・。」と自分なりの解釈をしています。元に戻りますと、人間誰もが基本的には幸せを求めて生きていると言えますが、その幸せはどこかにある訳でも、誰かが見つけ、揃え、与えてくれるものでも有りません。自分から、あるいは他の人々と力を合わせて開拓し、作り上げて行くしかないのです。

幸せを考える時、もう一つ大切なことが有ります。それは“幸せとは何か”“どうなれば幸せと感じるのか”ということです。戦後の日本人は、余りにも厳しかった戦争直後のあの貧しさからか、“豊かになること”もっと端的に言えば、“お金持ち”になることが幸せになることと考えたのではないかと思います。そして欲しいものも欲しがらず、苦労に耐え、無我夢中で働き続け、この豊かな社会を築き上げました。その結果が今の社会です。そして、多くの人が決して幸せを感じていないのです。それにも関わらず私達日本人は、今もなお物金の量、つまりは物質的豊かさにこだわった生き方を追求し続けているように感じます。

貧しく生まれて、貧しい中で育って73年、社会に出て、悪戦苦闘の社会人として54年、人生のゴールを身近に迎えた私は今、その経験を通じてこう思います。「人間は物金の量、つまりは物質的な豊かさでは決して幸せに成れない。」なぜなら、物質的な豊かさは、一旦その状態を獲得するとそれが当たり前になり、更なる量の豊かさを求め、それが得られないと不満に思う、つまり不幸に繋がるからです。今の日本、この豊かさの中にありながら、日本中が不況という落とし穴の中でもがいています。一方で私はこれまでの人生を振り返った時、最高に贅沢な生き方をして来たと納得しています。それは決して金銭的な豊かさでは有りませんでした。私はかつて社内報に書いたことがありますが、私にとって最高に贅沢な生き方、最高の幸せとは、“自分の行為によって、関係する誰か他人、あるいは社会に喜んでもらえること”でした。そういう私の人生観の下にNCKの経営理念は出来ています。社会に役立つ仕事をしよう。社会に役立つ活動をしよう。そして社員と共に、社会から喜ばれるよき社会人になろう。そして皆さんと一緒に物質的ではない幸せを追求し、共有したいと思っています。

(2012.07.27 記)

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