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コラム「異見と意見」COLUMN

このすばらしい国日本そして日本人に、もっと誇りと自信を持とう

4月2日、当社は今年も新入社員を迎えた。日本社会にとって4月は1年の中でも特別な月と言えよう。厳しい寒さが明けた開放感の中で菜の花に続き桜が開花、新緑も始まり自然が一斉に活動を始める。学校では入学式と共に新学期が始まり、ビジネス社会では新たに社会人と成った若者達を迎えて入社式。この時季の日本社会は、真新しい学生服の子供達やスーツ姿の若者達が街角や車内に初々しさを添え、新しい年の初めに次ぐ明るく希望に満ちた季節だった。

しかしながらバブル経済崩壊以降、経済の長期低迷と若者達の就職難、前に進まない政治など、社会全体が重苦しい閉塞感に包まれている。少子高齢化と地方社会の荒廃。物質的豊かさと反比例したような心の貧しさ。後を絶たない企業不祥事。無縁社会と孤独死の増加。自殺者数の高止まり。マスコミが将来不安をかき立てる年金問題。若さと意欲を感じさせない若者達。そんな中で発生した放射能汚染を伴う未曾有の大震災と電力不足騒動。職務を忘れ権力闘争、自己保身の場と化した国会。巨額の借金を積み増すだけで何も決められない政府。バランスを欠いた報道合戦で、不安を書き立てるマスコミの餌食になる話題に事欠かない。毎日のニュース番組は国民の不安をあおる様な話で埋め尽くされ、否が応でも国民意識は暗くなる。では日本はそんなに希望の持てない国なのだろうか?

世界に目を向けると、そこには国民の努力ではどうにもならない問題に苦しむ国がいくらでも有る。よく知られた北朝鮮やアフガニスタン、イラクは勿論のこと、アフリカ諸国やアジア諸国だけでなく、先進文化の中にある中南米の国々にさえも。それ等に比べれば日本の問題の殆どは国民の認識と行動次第で避け、解決出来る問題といえよう。不老長寿は人類永遠の願いであり、高齢化は長寿を達成した日本の生活文化の成果、悲観するより喜ばしいこと。少子化社会は子供を生むことが出来る世代の人達自身が選んだ道。地方社会の荒廃、心の貧しさ、就職難、企業不祥事や政治家の怠慢、返済を念頭に置かず巨大化した国の借金などは、世界第2の経済大国になって久しい今もなお、自己中心的金銭至上主義に明け暮れ、伝統的な日本の精神文化さえも忘れた国民自身の問題。GDP世界ランキングが中国に追い越されたなどと、相変わらず規模にこだわった発想で自ら自信を失い落ち込んでいる。地震とそれに伴う津波は、最新の科学技術をいくら駆使しても人間が制御出来ない自然現象であり、畏敬の念をもって共生すべきもの。そのことを無視して科学技術力にうぬぼれ、経済的理由を優先させた結果、放射能汚染を含む東日本大震災をもたらした。そのような視点で見れば、日本の抱えている問題の殆どは人災であり、国民の冷静な認識や行動があれば社会的問題とはならないよう制御出来たものと言えよう。

どんな国にも問題はある。欠点探しや無いものねだりをするより、優れていること、持っているものに気付き、先ずはそれを活用することにエネルギーを投入すべきではないだろうか。そういう視点に立てば、日本は世界一恵まれたすばらしい国だと言える。そのことを私は先にアメリカ、ミネソタ州日米協会や日本の大企業団体「科学技術と経済の会」での講演で「GDPの3倍もの個人金融資産、世界が認める高い技術力、高度に整備されたインフラ、上質の労働者、安心安全な社会、さらに世界で最もホットなアジアに位置する先進国。こんな条件が揃った国は世界で日本だけではないか?」と指摘した。これだけではなく日本にはまだまだ優れた点が有る。例えば、勤勉な民族、高度な識字率、世界に誇れる精神文化・生活文化などは相互理解、ベクトル合わせには最高の条件。日本は小さな島国で資源も無いと言われるが、世界第6位(中国の5倍)の広大な排他的経済水域(EEZ)、世界で最も多種類の海の生物が生息し、未開発天然資源も豊かな海を持っている。また国土は一面緑に覆われ、昨年の社員アメリカ体験旅行時レンタカーで走破して実感した、あのアリゾナ砂漠のような広大な不毛地帯は無く、日本の農業生産額は衰退が叫ばれる最近でもおよそ8兆円で世界第5位、先進国の中では米国に次ぐ第2位(淺川芳裕 月間「農業経営者」編集長による)である。さらに歴史を振り返れば、古くから文化・教育レベルは高く、それ故多くのアジア諸国のように植民地化されたことも無く、あの東日本大震災被災者達の行動パターンを見て世界の人達は驚愕、絶賛した。東日本大震災とは比較にならないあの戦後の荒廃からも世界が驚く速さで復興を遂げ、原子爆弾の直撃を受けた広島、長崎は、その不幸を感じさせない復興を遂げている。

こんな環境的、資源的、人的に恵まれた国が世界のどこにあるだろうか?私達日本人は足元をよく見て、その歴史を振り返り、日本人の実績を認識し、本来の日本人の心を取り戻せば、この未曾有といわれる大災害からの立ち直りも、長期低迷する経済や閉塞感からの脱出も難しいことではないはずだ。このすばらしい国日本そして日本人に、もっと誇りと自信を持とうではないか。新しく社会に出て来た若者達には特にそうであって欲しいと願う。

(2012.05.10 記)

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