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コラム「異見と意見」COLUMN

若者は好奇心を!これこそが自己成長の源泉

7月7日、当社恒例の「社員アメリカ体験旅行」から帰って来た。今回は11日間でハワイ、カリフォルニア、ミネソタを回った。ハワイ州出身、サンタクララ大学からの元インターン学生Mr. Garret Hamai の以前からの立ち寄り要請に応え、1991年に始めたアメリカ体験旅行制度では初めてのハワイ訪問。

当社のアメリカ体験旅行制度は、好不況や業績に関係なく、原則として毎年2回、1回当たり12~3日間、レンタカーに乗れる範囲の数名単位で、アメリカ国内3箇所を訪問。それぞれの地域ではレンタカーで走り回ることを標準にしている。その目的は、若い内にありのままの外国を見たり異文化体験をする機会を設けることで、社員の自己成長を会社が支援することにある。この発想の背景は、日立勤務時代の私の海外出張初体験にある。今では海外旅行など珍しくもないが、九州の片田舎から就職のため上京した1958年当時、自分がアメリカに行くことなど予想だにしなかった。しかし1969年2月、30歳の時、輸入部品調達の為渡米する購買課長の技術的サポートを任務として、カリフォルニア、マサチューセッツ、ニュージャーシー、ペンシルベニア、フロリダ、テキサス、アリゾナを21日間で回る海外出張を体験した。アメリカ大陸横断の機上から見える、どこまでも続く広大な荒地、その中に点在する巨大な円形や長方形の幾何学模様(これは農地だった)、どこまでも真っ直ぐに延びる白い道。カリフォルニアでは、なぜか日本の空より広く見える澄み切った青い空、乾いた空気。大雪のマサチューセッツからフロリダに飛べば、ホテルの屋外プールでビキニ姿の女性が水浴を楽しんでいる。冬と夏が同時に混在する広大なアメリカ。テキサスに飛べば、テキサスハット・ブーツに身を固め、腰に拳銃をぶら下げた守衛がデンと構える半導体工場。アリゾナに飛べば、夕食に誘われたカウボーイ、カウガールが運営する巨大ステーキが自慢のレストランは、サボテンの巨木がニョキニョキと立つ広大な砂漠の中。地平線に沈む真っ赤な夕日を眺めながら巨大なステーキで夕食。どこに行っても、何を見ても、ただ珍しく、巨大で、時差ぼけなど感じている暇はなく、好奇心を刺激され続け、人生観まで変ったと言えるアメリカ初体験だった。

それから18年経った1987年。当社に入社して経営に当たり、最も重視したのは売上高拡大や会社規模の追求ではなく社員育て。中でも、グローバリゼーション時代にあって、天動説にも似た狭い視野での島国根性、異文化・白人コンプレックスの日本人でなく、視野の広い社員育てをもくろんだ。その為に自分に出来ること、それは若い内に社員にありのままの異文化体験をさせること。

今では安価なツアーもあり、海外旅行などその気になれば誰でもいつでも行ける時代。しかし多くの場合、日本人好みの人気スポットを、時間に追われながらの観て歩き。当社のアメリカ体験旅行は独自の手作り旅行で、費用はかかるが一般団体旅行などでは味わえないユニークなもの。今回の場合、日本人が大好きなハワイに行きながら、有名なワイキキ海岸には夕日を眺めるために立ち寄っただけ。先ずはマウイ島に渡り元インターンの家庭訪問。バーベキューと家庭料理の歓迎を受け、宿泊は日本人旅行者の居そうに無い山の中腹にあるバンガローへ。翌日午前4時半にバンガローを飛び出して、標高3055mのマウイ島最高峰の頂までドライブして日の出を拝む。ハワイでも冬には雪が降ることを知る。翌日はホノルルがあるオアフ島へ移動したが、よく知られたワイキキではなく北部海岸のリゾートホテルに宿泊。ポリネシアン文化センター見学とディナーショー見物。

次に訪ねたカリフォルニア。林立する風力発電風車の間に放牧された牛が寝そべる広大な原野を通り抜け、雪解け水で勢いを増す巨大な滝と巨岩が特徴の大自然公園「ヨセミテ国立公園」日帰りバスツアーへ。そしてカリフォルニアワインの里、田舎町ソノマバレー訪問。次にはそこから引き返して南に向かい、ヤフー本社前を通り抜け、荒地を開拓して巨大なガラス張りビルが立ち並ぶオラクル本社そしてインテル博物館に立ち寄った。夜は高台にあるアップルコンピュータ品質管理課長である親友宅訪問。豪邸の居間で巨大なケーキを食べながら、宝石をばら撒いたようなシリコンバレーの夜景を楽しむ。そして最後の訪問地は、ミシシッピー川上流に位置する湖と大草原のミネソタ。親友弁護士宅で歓迎夕食会、また近くの湖でカヤック乗りと釣りを楽しむ。さらに独立記念日の7月4日は、敷地面積7000坪で湖つき邸宅に住む親友宅を訪問。湖の周りに住む人達が自家用ボートを飾り付けて湖に繰り出し、独立記念日を祝うボートパレードに参加。国籍も民族も忘れての馬鹿騒ぎを楽しんだ。その夜は独立記念日を祝う式典と花火大会を見物。

毎回このような独自企画で、私の初体験時とは比較にならない現地社会への溶け込み、ありのままの異文化、異民族との交流を楽しむことにしている。しかしいつも不思議なのが参加社員達の関心、好奇心の持ち方。その一例が、初の渡米で私が感動したあの高空から見下ろす地上の風景。若い当社社員は、せっかく窓席に座っていても好奇心が疲れに負けてしまうのか、それとも興味が湧かないのか、いつも眠っていることが多い。そういえば最近の日本社会、特に若者達から未知への「好奇心」が消えかかっていると言う。好奇心こそ自己成長、日本社会活性化の源泉と言えるのだが。

(2010.07.30 記)

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