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コラム「異見と意見」COLUMN

元気を出そう日本、そして若者達。
今こそ歴史に学び、すばらしい日本人を取り戻そう。

バブル経済崩壊以降の日本と日本人は、景気の低迷と共に自信も誇りもすっかり失ってしまったように感じます。今でも世界第2の経済大国、世界に誇れる技術大国であり、上質の労働者やインフラがあり、また世界一とも言える安心、安全社会であると同時に、世界で最も活気あるアジア地域の一員でありながら、長期にわたって閉塞感の中で静まり返っています。

私は機会ある毎に「日本は物質的豊かさと引換えに、その文化も日本人の心も失った」と主張していますが、私達は「グローバリゼーション」を誤解して、日本のすばらしさに気づかず、ただ外国に合わせ追従することが先進的であるかのように思い込んでいるように見えます。その結果、日本経済は先進国中最大の落込みから抜け出せず、政治は目指すべき方向、国家像を示せず権力闘争に明け暮れ、政府の巨大借金、少子高齢化と地方社会の荒廃、学生達の就職難と失業者増大、格差拡大、自殺者増大など、湿っぽく暗いあるいは希望のない話題ばかりが取り上げられ、閉塞感に包まれています。

日本はそんなにダメな国なのでしょうか?私は、日本はすばらしい国であり、日本人は優秀な国民であるのに、そのことに気づいていないだけだと思います。長期にわたる物質的豊かさの中で、その与えられた豊かさに慣れ、豊かさを自ら維持発展させることを忘れてしまっているだけだと思います。その為か、最近のテレビ放送には、現在の日本を築いた背景にあるもの、その歴史に関した番組が多くなりました。年末に始まった司馬遼太郎原作によるNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」は、日本が貧しく、近代化が遅れていた時代に、西欧に負けない近代国家に生まれ変わらせようと活躍した若者達を主題にした歴史ドラマです。そこには、今とは比較にならないほど行動は自由にならず、情報も物資も少なかった時代に、貧しさに負けることなく、卑屈になることもなく、誇りを持って、無い物ねだりではなく、その環境の中で出来ることに積極的に挑戦して行った若者達の姿が、生き生きと描かれています。与えられた豊かさと安心安全社会にただ浸るだけで、自分だけの幸せを得ようとしているかに見える最近の日本人に、今一度原点に返ること、何が大切かを気づかせることの多い作品です。

また、今年から始まったNHK大河ドラマ「竜馬伝」にも同様なものを見ることが出来ます。あの明治維新後間もない封建的で理不尽な社会にありながらも、ただ不平不満を言うのではなく、それに打ちのめされるのでもなく、強い心と意志を持って先ずは自分を鍛え、私利私欲ではない大志、使命感を持って新しい時代を切り開く為に一生をかけた、地方社会の若者を描いた歴史小説のドラマ化です。ここでも時代を改革して行ったのは若者でした。あの時代の若者達と比較すると、最近の若者達、特に男性達は、草食系という呼び方で揶揄されるように、どこに自分の意志があるのか、夢があるのか、意欲や勇気があるのか分からないように見えます。同時にこの経済低迷の中で国民全体が元気をなくし、閉塞感の中で日々を送っているようにも見えます。しかし日本の歴史の中にはすばらしいものがありました。自信を失ったかに見える今こそ、歴史を振り返り、歴史に学び、日本人としての精神文化、日本人の心を取り戻したいものです。

そんな中で放送された年末恒例のNHK紅白歌合戦は、プロの歌手による歌の競演が紅白歌合戦という認識の私のような高齢者・古い人間には、その歌もパフォーマンスもなじめないものが多かったものの、一年を締めくくるお祭りとして受け止めれば、あの明るく元気な歌と踊り、衣装、演出と舞台装置、時間に厳しくきびきびとした運営は、不況で静まり返っている日常からは全く想像もできないほどの、すばらしいものでした。これを見てつくづく思ったことは、「私達日本人は気持の上で沈んでいるだけで、やれば出来る、元気を出そう日本」という事でした。また正月恒例の「箱根駅伝」実況中継を見ましたが、ここにもすばらしい日本の若者達を発見しました。あの過酷ともいえる厳しいコースで展開される若者達のすばらしい走り、自分との戦いに感動しました。そこには勝利や完走の歓喜、充実感だけでなく、悔し涙も感動の涙もありました。それらは厳しい努力を重ねた者だけが味わえるもの、「何事も成果は後からついてくる。努力無くして歓喜なし」と実感しました。草食系などと揶揄され、苦痛を伴う努力を嫌う最近の若者達ともいわれますが、この箱根駅伝に見た若者達に、一年にたった一度のこの晴れ舞台の為に日頃からこつこつと厳しい努力を積み重ねる、伝統的な忍耐、努力、そして和の精神を引き継ぐ、すばらしい若者達の健在を実感させられました。「元気を出そう日本、そして若者達。今こそ歴史に学び、すばらしい日本と日本人を取り戻そう。」

当社も若者集団です。他人まかせ、他人依存ではなく、一人ひとりが自立心を持って精一杯の努力とチャレンジをし、自らの努力で心からの感動を味わえるようになりたいものです。

(2010.01.29 記)

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