NCK株式会社
日本コンピュータ開発

MENU

コラム「異見と意見」COLUMN

いよいよ経営理念実現の時が来た

皆さんが良くご存知のように、当社には次のような独自の経営理念が有ります。

  1. 社会に役立つ仕事をしよう
  2. 社会に役立つ活動をしよう
  3. 会社も社員も良き市民になろう

一方で当社は過去23年間に渡って新卒に拘った採用を続けて来ましたが、その社員の殆どは、この会社が有名企業であるとか給料が高いから入社して来たのではなく、この会社の考え方、つまり独自の経営理念に賛同し、その実現に参画することに興味を持って入社して来た人達です。しかしながらこれまで入社に当ってだけではなく入社後も熱烈な当社ファンだった社員の幾人かが、理念に沿った会社実現を待ちきれずに退社して行きました。私はそのことを誠に残念であり、同時に本当に気の毒だと思っています。確かに当社は、今もなお理念に沿った会社に向って成長途上の企業です。技術や製品あるいはビジネスの仕方は、まだまだ未熟です。しかし、社員は社会に誇れるすばらしい社員に育ったと思います。そして今、顧客や採用で関係する多くの大学関係者から一目を置いてもらえる企業になりました。

しかしまだ理念に沿った会社にはなっていません。それで良いのです。物事には、良い事だからと言って早急に実現すれば良いと言えない事、言えない場合が沢山あります。私は以前勤めていた会社の取締役工場長として、担当する工場の職場に、6年間に渡って徹底して重度身体障害者を採用しました。職場では健常者と言われる人達に良く支えられ、障害者といわれる人達自身もまた良く努力し、意欲的に働き、業績も上げ、県内でも有名な身体障害者雇用事業所となり、ついには労働大臣表彰まで頂きました。ところが私が転勤でその工場を離れた後の数年間で、その職場も障害者雇用も衰退し、ついには解散してしまいました。意義を感じ推進していたのは私だけで、他の人達は私の指示に従っていただけだったからです。彼らには本当に気の毒なことをしてしまったと反省した思い出があります。工場長としての権限、指示、推進で実現するのではなく、時間がかかっても先ず社員の認識・理解を深め、社員が実力をつけてから、社員の意思で実行すべきだったのです。

当社の理念は極く当たり前の事を定めたもので、すぐにでも実現できそうに思えます。しかし当社を取り巻く環境、日本社会は余りにもこの理念とはかけ離れた経済至上主義、成果主義、自己中心主義社会で、強い逆風が吹いているといえます。従ってその実現は決して容易なものではありません。容易でないからこそ取り組む価値があるとも言えます。その為命令一下慌てて実現するのではなく、時間がかかっても社員が成長し実力を付け、理念を社風にまで高めて初めて実行が可能になり、本物に成れるのです。残念ながら実現を待ち切れずに去った人達は、自分自身が実現の為の当事者の一人であることに気付かず、誰か他人が実現してくれると勘違いしていたと言えましょう。実現するのは役職者・経営幹部の権力、強圧ではなく、社員一人ひとりです。社員が傍観者であっては決して真の実現はできません。役職者・幹部は方向を示し、強い意志を持ってその実現の為の環境を作り、社員にその場を提供する事です。

一方で当社はこの3月末に、操業開始以来満23年を迎えますが、これまでプロと言える程の仕事や技術、あるいはビジネス育成を後回しにして、最初の10年間は、新しい国際化時代にも通用する独自の経営理念を定めて定着させ、引き続く10年間で理念に沿った社員育てと同時に理念を社風にまで高める事を行なって来ました。そして今、その理念に基づいた行動の為の条件が整い、いよいよ社員全員で行動を始める時が来たと言えます。社会に役立つ仕事を、役立つ活動を行い、会社と社員が共に良き市民となるための行動を始める時が来たのです。そこで昨年12月、若い経営陣によって今後の経営ビジョン、具体的なテーマが示されました。それは多くの同業者がしのぎを削って受注競争を繰り広げている、従来の単なるプログラム開発、請負ビジネスから、ディジタルデバイドの一方に位置し、ITの恩恵からの距離が遠い中小零細企業への安価なソフトウェアサービスを提供するビジネスへの転換です。その延長線上に目指すのが格差社会の進展で荒廃が続く地方社会を再び活性化することに貢献することです。特に地方出身者の帰郷、在宅勤務化を通じた同郷技術者による、地域の中小零細企業へのソフトウェアサービスは、首都圏での先端的な経験に基づく技術やアイデアを、地方社会に安心して提供し、ディジタルデバイドの解消に貢献し、地方ビジネスの活性化に役立つと思います。同時に首都圏での先進知識、技術を身に付けた若者の帰郷は、高齢化が進む地方社会に若さの注入と云う効果をもたらし、老後を迎えた人達に安心感を与え、その事を通じても社員が社会に喜ばれる良き住民と成ることが出来るでしょう。

今こそ、全社員がベクトルを合わせて、社会に役立つ仕事、社会に役立つ活動を通じ、良き市民になるための新しいスタートを切りましょう。

(2008.01.31 記)

記事一覧へ戻る